お薬の部屋
確実な内服のためには
日和見感染症のお薬
免疫機能低下により発症する可能性のある日和見感染症の予防・治療を行います。
- バクタ®(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)
ニューモシスチス肺炎(CD4数<200μl )、トキソプラズマ脳症(CD4数<100μl ) - ジスロマック®(アジスロマイシン)・クラリス®(クラリスロマイシン)
播種性非定型抗酸菌症(CD4数<50μl ) - ジフルカン®(フルコナゾール)
カンジタ症
HIVのお薬の歴史と種類
抗HIV薬の種類として、以下の5種類があります。
- 核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)
- 非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)
- プロテアーゼ阻害剤(PI)
- インテグラーゼ阻害剤(INSTI)
- 侵入阻止剤(CCR5阻害剤)
現在日本で承認されているお薬
(2016年6月現在)
ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI) | |||
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一般名 | 商品名 | 略称 | 承認時期 |
ジドブジン | レトロビルカプセル® | AZTまたはZDV | 1987年11月 |
ジダノシン | ヴァイデックスECカプセル/錠® | ddI | 1992年7月 |
ラミブジン | エピビル錠® | 3TC | 1997年2月 |
サニルブジン | ゼリットカプセル® | d4T | 1997年7月 |
ジドブジンとラミブジンの合剤 | コンビビル錠® | AZT+3TCまたはCBV | 1999年6月 |
アバカビル | ザイアジェン錠® | ABC | 1999年9月 |
テノホビル | ビリアード錠® | TDF | 2004年4月 |
ラミブジンとアバカビルの合剤 | エプジコム錠® | 3TC+ABCまたはEPZ | 2005年1月 |
エムトリシタビン | エムトリバカプセル® | FTC | 2005年4月 |
エムトリシタビンとテノホビルの合剤 | ツルバダ錠® | TDF+FTCまたはTVD | 2005年4月 |
非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI) | |||
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一般名 | 商品名 | 略称 | 承認時期 |
ネビラピン | ビラミューン錠® | NVP | 1998年12月 |
エファビレンツ | ストックリンカプセル/錠® | EFV | 1999年9月 |
エトラビリン | インテレンス錠® | ETR | 2009年1月 |
リルピビリン | エジュラント錠® | RPV | 2012年5月 |
リルピビリン、エムトリシタビン、テノホビルの合剤 | コムプレラ配合錠® | CMP(RPV/TDF/FTC) | 2014年12月 |
プロテアーゼ阻害剤(PI) | |||
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一般名 | 商品名 | 略称 | 承認時期 |
インジナビル | クリキシバンカプセル® | IDV | 1997年4月 |
サキナビル | インビラーゼカプセル/錠® | SQV-HGC | 1997年9月 |
ネルフィナビル | ビラセプト錠® | NFV | 1998年3月 |
リトナビル | ノービア・ソフトカプセル/リキッド® | RTV | 1999年9月 |
ロピナビル (少量リトナビル含有) |
カレトラ錠/リキッド® | LPV/r | 2000年12月 |
アタザナビル | レイアタッツカプセル® | ATV | 2004年1月 |
ホスアンプレナビル | レクシヴァ錠® | FPV | 2005年1月 |
ダルナビル | プリジスタ錠(300mg)® | DRV | 2007年11月 |
プリジスタ錠(600mg)® | DRV | 2014年12月 | |
プリジスタナイーブ錠(800mg)® | DRV | 2013年11月 |
インテグラーゼ阻害剤(INSTI) | |||
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一般名 | 商品名 | 略称 | 承認時期 |
ラルテグラビル | アイセントレス錠® | RAL | 2008年6月 |
エルビテグラビル、コビシスタット、エムトリシタビン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の合剤 | スタリビルド配合錠® | STB(EVG/cobi/FTC/TDF) | 2013年5月 |
ドルテグラビル | テビケイ錠® | DTG | 2014年3月 |
ドルテグラビル、アバカビル、ラミブジンの合剤 | トリーメク配合錠® | TRI(DTG/ABC/3TC) | 2015年3月 |
エルビテグラビル、コビシスタット、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩の合剤 | ゲンボイヤ配合錠® | GEN(EVG/cobi/FTC/TAF) | 2016年6月 |
侵入阻止剤(CCR5阻害剤) | |||
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一般名 | 商品名 | 略称 | 承認時期 |
マラビロク | シーエルセントリ錠® | MVC | 2009年1月 |
副作用が気になるのだけど…
お薬によって副作用が生じることがあります。服用開始後に副作用が生じた場合には、自己判断で内服を中止せずにすぐ主治医・薬剤師に相談しましょう。
他の薬や食事の影響や保管場所
抗HIV薬には他のお薬と相互作用があるもの、食事の影響をうけるもの、冷蔵庫での保管が必要なものがあります。また、抗HIV薬には併用してはいけないお薬や併用に注意が必要なお薬があります。主治医・薬剤師の説明を十分に受け、併用禁忌・注意リストをもらいましょう。
薬の保管について(詳しくは主治医・薬剤師より説明を受けて下さい)
- 直射日光をさけ湿気の少ないところに保管しましょう。
- 冷所保存のお薬としてカレトラ・リキッドなどがあります。
他の薬や食事の影響のあるもの
(一部を紹介します。これらが全てではありませんので、詳しくは主治医・薬剤師より説明を受けて下さい)
PDF 抗HIV薬に関連する薬物相互作用一覧使用の手引き
PDF 精神科薬剤と抗HIV薬の相互作用一覧
PDF 抗HIV薬併用禁忌薬一覧
- ddI、IDV、ATV、DRV、RPV、STB、CMP、GENは、食事の影響により吸収率が低下するので、食間もしくは食後30分以内に服用するようにしましょう。
- NFVは空腹時に服用すると、吸収率が低下します。必ず、食後に服用するようにしましょう。
- SQVは、グレープフルーツジュースにより血中濃度が急激に上昇するので、飲用はさけるようにしましょう。
- IDVは副作用症状である尿路結石、腎障害を予防するため、1日最低1.5リットル以上の水分を補給してください。
- IDVはグレープフルーツジュースにより血中濃度が減少するので、飲用はさけるようにしましょう。EFVは、高脂肪食摂取後に服用すると、血中濃度が急激に上昇するので、高脂肪の食事後は2~3時間空けるようにしましょう。
- プロテアーゼ阻害剤服用時、高血糖・高脂血症などの副作用が現れることがあります。高血糖になると、口渇・多飲・多尿などの症状が出ることがあります。このような症状がでたら、担当医師・薬剤師にご相談下さい。
- ATV、RPV、CMPは胃酸の分泌を抑制する薬「プロトンポンプ阻害剤」例)タケプロン、パリエット、ネキシウムなどにより吸収が低下するので、併用はさけるようにしましょう。