エイズ/HIVについて
- HIVとエイズの違いは?
- HIVはHuman Immunodeficiency Virusの略で「ヒト免疫不全ウイルス」と言います。HIV感染者とはHIVウイルスに感染しているけどエイズを発症していない方のことです。エイズ患者とはHIVウイルスにより免疫力が低下し「エイズとみとめられる病気」を発症した患者さんのことです。
- エイズってどんな病気なの?
- エイズ(AIDS)は、Acquired Immunodeficiency Syndromeの略で「後天性免疫不全症候群」といい、HIV(ヒト免疫不全ウィルス)の感染により体の免疫力がなくなって、いろいろな合併症(日和見感染症、悪性腫瘍など)を引き起こす病気です。 早期診断・早期治療が重要です。
- どうやってうつるの?
- HIVが感染に十分な量含まれているのは、
1.血液、2.精液・膣分泌液、3.母乳
です。
その感染力はとても弱く、会社や学校などの日常生活ではうつりませんし、空気感染もしません。感染経路は主に
1. 性行為(日本では7~8割と大半を占めています)・・・感染者との予防のないセックス
2. 母子感染・・・感染しているお母さんから赤ちゃんへの垂直感染
3. 麻薬や覚醒剤など注射器の共有・・・血液の侵入
です。日常生活において予防のない性交渉以外でうつる可能性はまずありません。 - 感染するとどうなるの?
- HIVウイルスに感染してもしばらくは感染前と変わりません。人によって感染して数週間後に発熱、頭痛など風邪のような症状があらわれます。しかし症状は長続きせず、改善します。そのため、エイズに感染したとしても自己判断は非常につきにくいといえます。その後長い潜伏期間をへて発病します。この無症候期をAC(Asymptomatic Carrier)といいます。もちろん症状がなくとも他者への感染力はあります。
- 職場や学校など周囲の人から感染することはないの?
- HIV感染者との予防ない性行為というケースをのぞけば、日常生活での感染はありません。たとえ周囲のだれかがHIVに感染したからといって、あなたやまわりがその方に接する態度を変える必要はありせん。
- 世界でエイズの方は何人くらいいるのですか?
- 2008年末のデータとして、世界のHIV感染者は推計3,340万人と推定(UNAIDS(国連エイズ合同計画)資料)されています。わたしたちは、インターネットや海外旅行で「世界が近くなった」と感じますが、そんな世界の大きな問題のひとつがエイズなのです。
性行為での感染
- 特殊な人がかかる病気でしょ?
- 現在エイズは特別な人だけの病気ではありません。感染経路は大半が「性行為」によるものです。当初は同性間の性行為による感染が大きく取り上げられましたが、現在はたとえ異性間であっても感染リスクが低い(高い)ということはありませんし、商業目的の性行為においても同様です。その意味でいいますと「たった1回だけ」の予防のない性行為であってもHIVに感染することもありうるわけです。予防のない性行為は等しく感染リスクがあるということを知っておいてください。
- 感染を予防できるの?
- 主な感染経路は性交渉ですから、HIV感染の有無が不明な人とは、コンドームを正しく使用することが大切です。 また、かみそり、歯ブラシ、ピアスなど血液がつく可能性のあるものは一般衛生上共有しないほうが無難でしょう。母子感染については、妊娠前又は妊娠中の出来るだけ早い時期に感染の有無が確認できれば、薬剤などで感染率を下げることが可能です。
- なぜセックスで感染するの?
- 皮膚に傷がないかぎりHIVが体内に入ることはありませんが、セックスの際に性器や肛門の粘膜に目に見えないくらい小さい傷がができ、そこから精液や膣分泌液、血液を介してHIVが侵入しやすいのです。性器や肛門などの粘膜はHIVを吸収しやすいという説もあります。
- STD(性感染症)にかかっているとエイズにかかりやすい?
- かかりやすい(3~5倍)といわれています。男性側・女性側いづれもSTD(性感染症)にかかっていると、性器に潰瘍やただれ、傷などができやすく、非常に感染しやすくなると考えられています(その他の要因もあります)。STD(性感染症)であるクラミジア感染の蔓延が最近問題となっていますが、その傾向にともない、HIV感染のリスクが高くなっているという事実を知っておいてください。STDにかかった方、かかったおそれのある方は早期に病院での診察治療を行いましょう。また、HIV検査についても行うようおすすめします。
検査などについて
- 妊娠していますがHIV検査は必要ですか?
- HIV検査をぜひ受けましょう。妊娠初期に多くの産科でHIV検査をすすめています。感染がわかった場合にはご本人への適切な治療をふくめ、赤ちゃんに感染しないよう早期に対策をとる必要があります。検査はもちろん同意のうえにおこなわれ、結果も直接ご本人にお知らせします。また本人の了解なく他の人に結果をお話することはありませんので、安心して検査を受けてください。
- 即日(迅速)検査とは何ですか?
- HIV検査はこれまで通常、検査受けてから結果がでるまで1~2週間かかりました。(通常検査) これに対し即日(迅速)検査とは、当日その結果をお知らせできるものです。(ただし検査の結果「陰性が確認できなかった」場合は、別に確認検査が必要となり、その検査結果は1~2週間ほどかかります。) 現在、全国の保健所でこの検査を導入しているところが増えており、また土曜・日曜や夜間検査を実施することで、受検者も通常検査時より増加傾向にあります。
- 即日(迅速)検査をうけたところ「要確認検査」といわれました。感染していますか?
- 即日(迅速)検査で「陽性」であっても、直ちに感染を意味するものではありません。即日(迅速)検査では、100人に1人の割合で「偽陽性」が出ることがあります。陰性と確認できなかった場合は、確認検査が必要となります。その後の確認検査も陽性であればHIV感染症と診断されます。
- 自分や大切な人が感染してるか、わかりますか?
- 現在のところ検査以外で感染を知ることはできません。感染後風邪のような症状がでることがありますが、自己判断はつかないと考えてよいでしょう。プライバシーも守られますし、相談もできますから安心して検査をうけてみましょう。
治療などについて
- 感染しちゃうと治療法がないの?
- 薬の開発による三剤併用療法で、エイズの発症を遅らせ、今までどおりの生活を維持することができるようになりました。早く感染を知ることが大切です。
- エイズワクチンはできていないのですか?
- 世界で研究・開発が進められていますが、今のところ実用的エイズのワクチンはありません。現在のところ最も安価で、有効なワクチンはもしかすると、エイズに対する教育・知識かもしれません。
- HIVの治療費って支払いが大変?
- HIV感染者・エイズ患者と診断された方々は、医療機関の定期的な受診や服薬が必要となりますので、継続的に医療費負担がかかってきます。しかしながら、患者さまの医療費負担を軽くする健康保険や障害者の医療費助成制度(エイズは病気の程度により身体障害者の認定を受けることができます)がありますので、まずは通院先のソーシャルワーカー・医師・看護師にご相談ください。
- 医療費助成制度の主なものは?
- 1. 高額療養費支給制度
病院で支払った医療費が国で定めた限度額を超えた場合、その超えた額が健康保険への申請により戻ってくる制度。
2. 障害者自立支援医療
身体障害者手帳を持ち、その障害の改善のため受ける治療に対して、医療費が助成される制度。